半透明の滴

 強い風、
 夜が駆け足でやってきて、すっぽりと被ってしまう。
 冬の夜は眠たいのに、なんだか眠ってしまうのがこわくてやり過ごす。
 昼間とはまるで別物の不安にかられて、一日が廻るんだってことを忘れるくらい。
 この風が吹き荒れたあとで そのあとで、
 素足につめたい、額と頬には温もりが消えない指。
 一番にみつめるのがあなたであって、やっとあたしは眠りに落ちる。
 胸いっぱい吸い込んだ白い朝の気配に、ガラスの水滴、
 なぜだかもう目があけられない。
 「おはよう」の声がとおく霞む。