たしか昨年末の忘年会(という名の飲み会)で会ったっきりの女の子から電話があった。電話で話したのはもっと前になるだろなー。忘年会した子達もその子も、ケーキ屋さんのバイトが一緒でそこからのつきあい。
 あたしは3年ちかく働いていて、当時の店長さん、パートの人とも仲がよくて今でも連絡をとっている。そこにいた人たちもふくめ、お店そのものが大好きだったものだから、今もすてきな記憶となって残ってる。
 小学生の頃から街に行くとなると、そこのパンを買ってかえるのが楽しみだった。待ちきれずに途中で友達と食べたりした。専門学生になったあたしが入った店舗はケーキがメインの、デパ地下のちっちゃなお店。 リニューアルしたり商品を変えたりとお店の方向をどんどん展開して、今夏閉店が決まったときいた。
 パイシューやとろけるプリンなんかが、おいしくて私は好きだった。とにかくバイトばかりしていたときは、「赤ちゃんのにおいがする」「いつもミルクの香りがするよ」と言われるぐらい身に染みていたらしい。
 電話をくれた彼女は2つ年下の、かわいくて面白い子で、時々こうして電話したり会ったりする。彼女はあたしをちゃん付けで呼ぶけど、あたしはなんて呼ぼうかいつも迷う。アルバイトで一緒だったりすると苗字にさん付けが抜けなくってしまう。 彼女にはそれはしっくりこないし、呼びすてもちゃん付けも気恥ずかしさが浮き立ってくる。今日の電話でもいい呼び方がみつからないねーと笑い合った。
 今日の回線はちがっていた。お互い拭いきれない心配の要素もなくて、大丈夫そうだって声で確信できた。