こたえて欲しかったんだ。返事がないなんて、もしかしてもう二度と会えないなんて、考えなくたって寂しくていやだったから。
 困らせるね、面倒なことにしてしまったけれど、あたしは誰でもないあなたにちゃんと伝えたかった。向き合うべきだと思った(相手がこっちを向いてくれるかはわからないけど)、手遅れだって胸にしまうとか綺麗なままでさようならとか出来ない。
 あたしの心がうごくことにできるだけ添って側にいたくて。だけど、「もうこれ以上がんばれなかったか」「これで精一杯だったのか」って問われたら、「はい」とは答えられない。
 どうかなにか言ってください。察することもできるし、声やとなりの温度で崩れてゆくような気配をいやでも感じ取ることができたけれど。きゅうにぱったりと返事すらかえってこないなんてないよね。かえせない気持だって、そのにがい締めつけだって私にも心当たりがあるから、もっともなのかも知れない。それでも私は彼じゃない。彼にとって一番やさしく胸やけも胃もたれもさせない思いやりでもって彼に向かおうとすることは、果たして相手の為なんかじゃけっしてないよね。
 何処で待ち合わせてもすぐにみつけられることや、見あげて話す角度さえ、あたしの中に残ってしまうね。もう残されてしまったね。