雨待ち風 (初回生産限定盤)(DVD付)
 4時をまわっても蒸し暑い。父の運転で皮膚科へ行って、かえりは街へ寄り道。丸善で本を買い、HMVで用事を済ませる。
 HMVのすぐ横の道端で車を降り視線を上げると、友達が恋人らしき男の人と通り過ぎる。素早く声をかけることもせず、そのままアーケードへ。
 少しくすんだグリーンのポロシャツに、きれいにカラーされたパーマヘア。大人っぽさが加わったけれどベビーフェイスのmちゃんは振り向く程可愛い。
 街を歩く女の子達は鮮やかに夏服とサンダル素足の爪にさえ光りを浴びて、このうえない眩しさを放っている。あたしは目深に帽子を被り、わずかな熱気に息をつく。
 悲しくはならなかった。ただ彩るその洪水にあたしだってのみ込まれよう、24時間に踊り途切れない時間を生きられるふうになるんだ。そうしなくちゃ腑に落ちない。努力を積み重ねて報われ難くてもやめない自分を、ひどく痛み衝けたりもうしない。 この身体をなでて、赤く悲鳴をあげる皮膚には手のひらをそっと。
 泣かないで、どうか見捨てず絶望しないで。