ふとんをかぶったまま「やだ、やだ…」と強く何度もとなえた。地震のときは小さい頃からそうしている。念じたら届くかなんて分からなくとも、ギュッと拳を握りしめてとなえることしかできない。
 家族も友達も大切なひとがみんな無事でよかった。ほんとうによかった。
 揺れのうえに暮らしているいじょう、油断はできないんだけどね。
 大きな揺れがおさまると、天気が急にからっと晴れた。眩しい光線が目を突く、天気だった。真夏の空ともまたちがう。