2月21日の背景

大切なひとの誕生日だった。
あたしにとってなくてはならない、今鏡に映る髪やこの爪をつくった人だと思うんだ。
ほんとなら日付けが替わった瞬間に、言いたい、と思ったけれど…


ぼんやり明るい朝を吸い込んで 着々と支度をして
昼食もそこそこに春服で街へとでかけて あちこち早足でテンポよく回った。


自分のことを一日に凝縮してやり尽くして帰宅した。
いつもより遅めの夕食をすませると一時間はドラマを見ながら、
10時頃電話しようかななんてチラチラ時計を眺めた。
ドラマが終わったらニュースを見て、大事な事を忘れかけてた。
11時を回って思い出して電話した。


少しだけためて「誕生日おめでとう」をいった。
電話がかかってきたら期待するはずって分かってて、
「こないだ誕生日聞いたばかりだったからね」と嘘ついてみた。
やさしいトーンで私の方がお礼を言いたくなった。
他愛もない会話をして
「それだけなんだけどね」
と短い電話におやすみを告げた。


手帳に書き込まれたあなたの23歳を目にしてた。
今日は必要以上にうきうきしてて忙しくしてみて、
その背景でこの日がずっといたんだよ。